上伊那郡辰野町で屋根塗装と外壁塗装のお問い合わせがあり現地調査に伺いました。
外壁はALC、屋根はスレートです。
外壁はALCボードのジョイント部分の目地のシーリングの劣化が目立っています。
屋根のスレートはスレートの劣化で一般的にみられる塗膜の剥がれ、割れ、コケの発生、棟板金を止めるビスの浮きが目立ちました。
外壁、屋根それぞれの調査の様子をご紹介します。
外壁のALCはAutoclaved Lightweight aerated Concrete(高温高圧蒸気養生された軽量発泡コンクリート)の略です。Hebelやパワーボードなどの商品名のほうがおなじみかもしれません。中に無数の気泡が入っているので軽量で水に浮くほどです。この気泡によって断熱性、防音性が高いのが特徴です。ALCはそれ自体に防水性がないため表面を塗装することによって防水しています。逆に言えば塗膜の劣化が防水性の低下につながります。気泡が水を吸いやすいので定期的な塗装のメンテナンスが不可欠です。メンテナンスをすれば耐候性は50年にもなります。
調査の様子です。
ALCはボードを繋げて外壁となります。ジョイント部分はゴム状のシーリングで防水しています。多くの場合ALCは未塗装で現場まで来て、現場でリシン模様などを吹き付けて塗装します。シーリングは塗装する前に打たれるので、シーリングの上に塗膜が来てシーリング自体の劣化は防げるのですが、塗膜が剥がれてくるとシーリングが露出され、ひび割れなどの劣化に繋がります。
亀裂は外壁の弱いところから発生していきます。特に窓付近はアルミの窓枠とALCボード、違う材質がぶつかっているので、強度が他よりも劣ります。塗装する際にこういった亀裂を補修する必要があります。
ベランダの床の外側の軒裏が剥がれていました。材質はケイ酸カルシウムボードです。原因は水なのですが、直接雨が当たるところではありません。おそらくベランダ床の防水の劣化が原因かと思います。塗装では補修できないほどの劣化なので張り替えるとともに、ベランダ防水をチェックする必要があります。
屋根の調査の様子です。
屋根材はスレート、セメントと繊維質を混ぜて板状に成型した屋根材で、比較的軽量で安価、施工しやすいところから多くの屋根で使われています。コロニアルやカラーベストの商品名のほうがおなじみかもしれません。こちらもそれ自体に防水性がないので表面を塗装して防水しています。塗膜の劣化が防水性の低下につながります。定期的な塗装のメンテナンスが必要です。
スレートの塗膜の剥がれの一般的には軒先に集まります。水が一番通る場所だからです。この屋根も軒先を中心に塗膜が剥がれていました。
スレートは断面が露出しています。塗装はされていますが塗料が乗りにくく水を吸いやすい状態です。これもスレートの劣化の一般的な症状ですが、コケが発生しています。水分がないと発生しないコケなので、断面に水分がある証拠です。
スレートの弱点のひとつに割れやすいという点があります。何かが落ちたためなのか、水を吸ったのが原因なのか、何カ所か割れているところがありました。
4枚前の屋根の全景の写真で、屋根材を縁取るように色が濃くなっているのがわかるかと思います。それを拡大したのがこの写真です。スレートの断面から水を吸っているためです。これもスレート屋根の劣化の特徴で、調査するとほぼ100%こうなっています。
1階下屋根と2階の外壁の取り合いにもシーリングを打って防水しています。素材が違うものがぶつかるところにはこのようにシーリングを打って防水します。外壁と同様に先にシーリングを打って上から塗装しています。塗膜が剥がれているのでシーリングが露出しています。このままではシーリングがどんどん劣化していってしまいます。
傾斜方向が違う屋根材がぶつかるところを棟と言います。屋根の頂上にあるのが大棟、大棟から四隅に行く棟を隅棟と言います。スレート屋根の場合は金属製の棟板金をかぶせますが、この棟板金を止めるビスが浮いています。棟板金の下地にはヌキという木材が入っていますが、雨が入ってこの木材が腐っていきます。そのためビスが効かなくなって浮いてきてしまっています。このままだと台風などの強風であおられて板金が飛んでしまいます。交換の必要があります。
以上、調査結果をお施主様にお伝えしました。
外壁はクラックの補修をして塗装をすれば問題なさそうです。ベランダの防水塗装が必要です。屋根は塗装もできますが、築年数とスレートの耐候年数からカバー工法をお勧めしました。
後日、外壁塗装と屋根のカバー工法の工事をさせて頂く事になりました。