このコラムをご覧いただいている方はそろそろ外壁塗装をお考えの方が多いかと思います。外壁塗装と一言で言っても外壁材の種類や劣化状況などでその種類は多種多様に及びます。今回は外壁塗装よりもある意味重要なシーリングのメンテナンスについてお話します。
現在のお家の外壁材は約80%が窯業系サイディングで作られています。窯業系サイディングとはセメントに繊維質を混ぜて成型した外壁材です。概ね幅500mm、長さ3000mmのボードを組み合わせているので、必ずつなぎ目ができます。このつなぎ目(目地)に充填されているのがシーリング材です。ボード間の隙間から水の侵入を防ぐ防水材です。
窯業系サイディングは昼間は膨張、夜は収縮と昼夜の寒暖差で伸縮します。ボードが膨張するとシーリングは収縮し、ボードが収縮するとシーリングは膨張します。
まりシーリングは常に動いていることになります。この動きについていけるようにある程度伸縮するゴム状のシーリング材が使われています。
では、シーリングの劣化にはどのような症状があるのでしょうか。
シーリングの中には可塑剤という柔らかさを出す成分が入っています。この可塑剤が表面に出てきてしまうとネバネバになります。ここにほこりなどの汚れが付くと黒く汚れてしまいます。子の汚れも劣化症状の一つです。
次にその可塑剤が染み出すとシーリングの硬化が始まります。また、可塑剤が染み出たことでシーリングが痩せてしまいます。これも症状の一つです。
さらに硬化がが進んでひび割れが発生します。表面だけならいいのですが内部まで亀裂が入っているとそこから水が入ってしまいます。
硬化、痩せ、ひび割れ、最後に剥落というように劣化していきます。
外壁のボードとボードの間が汚れてきたなと思ったらシーリングのメンテナンス時期です。
シーリングはどのくらい持つのでしょうか?
最近の外壁材は品質が上がり、15年放っておいても大丈夫なくらい、表面の塗膜の性能がよくなりました。でも以前のシーリングは7~8年ほどしか持ちませんでした。いくら外壁がよくなってもシーリングの寿命が短ければメンテナンスのサイクルは短くなってしまいます。そこでシーリングメーカーが開発したのがノンブリード(ブリード=可塑剤)のシーリング材です。可塑剤が入っていないのでべたべたが表面に出ることなく、したがって痩せたり硬化したりすることもなく、長持ちするというシーリング材が開発されました。対候性テストでは30年超の結果も出ています。
シーリングのメンテナンス方法は、重症なら打ち替え、軽症なら増し打ちという方法で行います。打ち替えは文字通り古いシーリング材を撤去して、新しいシーリングに打ち替える方法、増し打ちは今のシーリングの上に新しいシールを打つ方法です。今のシーリングの劣化状況により判断します。
打ち替えは古いシーリングを完全に撤去して、マスキングテープを貼ります。(右の写真の青いテープ)シーリング材が周りの外壁にはみ出ないようにするためです。
プライマー(シーリング材と外壁との接着剤)を塗って、シーリング材を充填していきます。ここで隙間が出てしまっては実も蓋もないのでたっぷり打っていきます。打ってすぐにマスキングテープを剥がします。乾いてしまうとテープにシーリング材がくっついてきてしまうからです。こうしてシーリングの打ち替えが終わります。
気が付きにくいシーリングですが、住まいには非常に重要な部材です。ぜひ定期的なメンテナンスをしてください。